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Virtual Insanity ~バーチャル・インサニティー~

生活、時事問題、趣味のことなど幅広く、日々思うことを綴っていきたいと思います。多分、中道左派です。

幸せに<なれる>のか? 前野隆司さんの幸福学

2017年4月19日に放送されたFM番組『ジャム・ザ・ワールド』の特集が、出色の出来でした。

特集のタイトルは「誰でも幸せになれる「幸福学」とは?」

どう思いますか、このタイトル。

私は、見た瞬間、怪しいと感じました。

この番組の特集コーナーは30分弱なのですが、この日は最初の数分聞いて、怪しかったら聞くのをやめようと決めました。

 

怪しい特集が始まりました。ゲストは慶應義塾大学大学院で教授を務めておられる前野隆司(まえのたかし)さん、ちなみにこの日の『ジャム・ザ・ワールド』の進行役は安田菜津紀さんでした。

 

30分後、私は、まだスピーカーの前にいました。そして、なるほどな~と思いました。

前野さんの訴えるところが、結構、私の考える「幸福とは何か」という考えと一致していたためかもしれません。あと、前野さんの投げかける、幸福になるための4つのキーワードが、地に足のついた、なかなかよいものだと感じたからです。

ぜひ、みなさんにこの4つのキーワードを紹介したいと思います。

 1.やってみよう!

 2.ありがとう!

 3.なんとかなる!

 4.あなたらしく!

この4つのキーワードに従って、日々を送っていくと、幸福になるという主旨の特集でした。今、こうして、この4つのキーワードを並べると「これなら確かに幸福になれそうだ」と素朴に思います。

 

この記事のタイトル「幸せに<なれる>のか?」という問いについてですが、「ある程度、幸福度を上げるための、公式は確かにある」というのが、この特集を聞いての、私の考えです。

 

早速、図書館で前野さんの幸福学についての著作を借りて、読みました。タイトルは『幸せのメカニズム』です。2013年に発売された講談社現代新書です。

読んでみたのですが、正直言って、ラジオで聞いた30分の特集よりも説得力に欠けました。著者の主張への反論の反論のようなものが随所に出てきて、読みづらく感じました。あるいは、ラジオで聞いた、前野さんの語り口に説得力を強く感じたのかもしれません。ここでは、以下、ラジオで聞いた特集と『幸せのメカニズム』の要所を自己流に箇条書きしたいと思います。

 ・人間は「地位財」と「非地位財」によって幸福を得る。

 ・「地位財」とは金銭、物、名誉などのことで、「非地位財」とは、自己実

  現と成長、つながりと感謝、前向きと楽観、独立とマイペースといったも

  のである。

 ・「地位財」による幸福よりも、「非地位財」による幸福が長続きする。

 ・自分の得意なことをすることが大切である。

 ・友人の数ではなく、友人が多様であることの方が、幸福度を上げる。

 ・年齢を重ねるほど楽観的になれる。

   ラジオでは「人生U字カーブ」なるものが紹介されていました。

   統計によると、40代で幸福度は底を打つそうです。

 ・人目を気にしないことが大切だ。

 

先に登場した4つのキーワードは、上記のものと以下のように対応します。

 

 1.やってみよう!=自己実現と成長

 2.ありがとう!=つながりと感謝

 3.なんとかなる!=前向きと楽観

 4.あなたらしく!=独立とマイペース

 

著書『幸せのメカニズム』でも上記の4点に触れられていましたが、ラジオよりはダイレクトに響きませんでした。前野さんには、ぜひ、もっとラジオやテレビに登場していただきたいと感じました。

 

なお、『幸せのメカニズム』では、音楽や工芸作品など、創作物を鑑賞することよりも、創ることの方が、幸福度の上昇に寄与すると述べられていました。ですから文章を読むよりも書く方が、幸福度は高いのです。前野さんの指摘する通り、幸福度が上がるので、こういった記事を私は書いているのでしょう。

読むだけでも楽しいのですが、書くのは、もっと楽しいといったところですね。

やさしい人よ、理想のために、ヘビのように狡猾であれ

半年ほど前に、別の部署で働く同僚がふともらした言葉があります。

『自分の部署では、やさしい人が次々にやめていき、怖い人だけが残る』と先輩が言っていた」

私は、この言葉を聞いて爆笑してしまいました。同僚に対して失礼だったかもしれないと反省しました。ですが、笑わずにはおれませんでした。口にはしてきませんでしたが、まさに日頃、私が考えていることと、ぴったり同じだったからです

 

私はいくつかの職場を経験してきましたが、やはり図々しい人、鈍感な人、自分に甘く他人に厳しい人というのは残ります。人の気持ちのわかるやさしい人というのは、沈黙したり、沈黙した末に病を得たり、職場を去っていきます。冒頭に登場したセリフ「自分の部署では、やさしい人が次々にやめていき、怖い人だけが残る」というものは、私が言いたいことでもあるのです。

 

Xさん事件

 

最近、私の職場では私が勝手に名付けるところの「Xさん事件」が起こりました。なお、登場人物が腹の底では何を思っているのか、本当のところはわかりません。ただ、いろいろ観察してきた結果、私の推測はほぼ当たっていると思います。自信があります。

 

私の職場は、ぼかして書きますが、「人間とは…」といった人間に対する考え方、人間観、哲学といったものが色濃く仕事に直結するところです。具体的に申しますと、職員がしようと思えば、簡単に他人の人権を侵害できる職場です。

その職場ですが、Xさんという若い女性がおられます。が、間もなく退職される運びとなりました。

私は、このXさんのファンでした、一言で言ってやさしい人です。他人の気持ちを思いやることのできる人です。私のいる職場には、まさにうってつけの人物です。Xさんの仕事ぶりをはたから見ていて「ああ、すばらしいな。この人がいるおかげで、職場の雰囲気が明るくなっているな」と感じていました。Xさんの活躍を見て、元気になれましたし、尊敬しています。ですから、今回の退職は非常に残念なのです。

 

さて、なぜXさんは退職することになったのでしょうか。私の推理にすぎないのですが、99%、当たっていると思いますので、話を続けます。

1年程前にYさんという若い女性が、異動にともない、私の部署にやってきました。当初はYさんは「おとなしく」していたのですが、徐々に本性を明らかにしていきます。

端的にいうと、Yさんは、チンピラのような人なのです。自分のことは、かわいいのですが、他人にはとても厳しいのです。やがて、Yさんは他人を公然と罵倒するようになります。社会人として未熟な態度です。

こうしたチンピラもどきのYさんと、思いやりの深い理想主義的なXさんが対立するのは時間の問題でした。部署のボスはXさんに近い態度を見せる人なのですが、Yさんを排除するわけにはいきません。Yさんに教育を施すしかボスには手立てがありません。また、ボスが、XさんにYさんと共存する知恵を授けるという方策もあるでしょう。

おそらく、Xさんとボスは話し合ったと思います。

Xさんは、血気盛んな一面があるので、Yさんを職場から放出することを主張したかもしれません。ただ、よほどの落ち度がないと、解雇ということはできるものではありません。異動させても、異動先で同じようなことを繰り返すだけです。一時期、いつも周りに人が集まっていたXさんが、ずっと一人でいる時がありました。XさんとYさんの対立・緊張を、普段のXさんの仲間も快く思わなかったのでしょう。しばらくして、チンピラのようなYさんの態度が少し穏やかなものになりました。ボスの指導があったのだと思います。

 

ということもあって、XさんとYさんの対立という構図は残るものの、共存の道を選ぶかと予想していました。ですが、先日Xさんの退職が知らされました。大変残念なことです。XさんにはYさんと共存するという図が描けなかったのだと思います。

 

Xさんの気持ち、憤りはよくわかります。私はXさんの理想主義的な態度に大変共感していました。今でもそうです。Xさんは、若さゆえか、クールダウンすることができなかったのでしょう。そして、Yさんと共存するということが想像できなかったのでしょう。私もXさんと同じぐらいの年齢で、同じような境遇にあったら、職場から退場することを選んだ可能性はあると思います。

 

かくして、私の部署でも「やさしい人が次々にやめていき、怖い人だけが残る」という現象の一端が発生することと相成りました。

 

やさしい人よ、退場することなかれ。

 

あなたの退場は、あなたが考えている以上に、職場にとってダメージをもたらすのです。

そして、チンピラ(現実)の前に理想が敗れるという、残念な結果をもたらすのです。

 

やさしい人よ、理想のために、ヘビのように狡猾であれ。

 

この文章をXさんに捧げます。どうぞ、職場を去っても、お元気でお過ごしください。