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Virtual Insanity ~バーチャル・インサニティー~

生活、時事問題、趣味のことなど幅広く、日々思うことを綴っていきたいと思います。多分、中道左派です。

J.ファロン著『サイコパス・インサイド』の感想~読み応えあり

著者のファロン氏はアメリカの医師で、自分の脳画像を見たところ、自分がサイコパスがもつ脳の特性を有するということに気付いてしまったという人物です。アメリカで2013年に出版された本を、日本犯罪学会に所属する医師が翻訳したものです。

 

なかなか難しい本なのです。私は、最終章と訳者あとがきを読んで「なるほど、そういうことを結局言いたかったのか」と、ようやくわかった次第です。

 

以前、このブログで中野信子氏の著した『サイコパス』という新書について、もの足りなさを感じたことを書きましたが、この本については、そうした印象はありません。何せ、著者自身がサイコパスがもつ脳の特性を有していると表明しているので、文章や思索には深みがあります。一方、自身の不倫経験など、破天荒な体験を明らかにしていることから、他者の視線に鈍感で、「やはり、この人はサイコパス的だな」と感じさせる一面ものぞかせます。

 

ファロン氏の主張するところによると、サイコパスの出現には、3つの条件が満たされる必要があるとのことです。それは「脳の特定部位の異常なほどの機能低下」「いくつかの遺伝子のハイリスクな変異体」「幼少期早期の虐待」ということです。著者は3つ目の条件を欠いているために、自分が社会に受け入れられ、サイコパスとして扱われないのだろうと述べています。

 

なお、サイコパスの出現する割合は100人に1人から2人とこの本では触れられています。ですから50人から100人から成る組織に属している方は、サイコパスを目にする機会があるかもしれません。

 

私は50人以上の組織に所属しています。絵に描いたようなサイコパスでは、ないにせよ、他人への共感力のかなり低く、激昂しやすい人物と日常的に接触しています。結構、つらいものがあります。でももしかすると、ファロン氏の言う「脳の特定部位の異常なほどの機能低下」や、「いくつかの遺伝子のハイリスクな変異体」の持ち主なのかもしれません。さらには、気の毒ですが「幼少期早期の虐待」の経験者なのかもしれません。そうした視点をもつと、また、その人物への見方が変わってくるのを感じます。こういう「変わった人」がいるのは、こんな理由も考えられるのかと、教えてくれる一冊です。

 

ハードカバー、246ページ、文字がびっしりで、読み応えあります。