Virtual Insanity ~バーチャル・インサニティー~

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<共謀罪> 青木理のジャム・ザ・ワールド 6月16日放送の感想

共謀罪法が成立しました。

私は不勉強でして、法律全文を読んでおりません。それに「テロを防止するのだ」という主張は、もっともなので、実はこの法律について書くのに、ためらいがあります。ですが、16日に放送された『ジャム・ザ・ワールド』の内容をふり返ってみたいみたいと思い書くことにしました。

 

さて、金曜の『ジャム・ザ・ワールド』を担当されているジャーナリストの青木理さんは、かなり長い間、この法律に批判的な姿勢を示されてきました。市民のプライバシー保護がおろそかな監視社会を招き、その結果、健全な政権批判がなされなくなり、社会が劣化するからというのが青木さんの主張のポイントだと受け止めています。

 

カッティングエッジ

 

ジャーナリストの田原総一朗さんが、電話ゲストとして登場しました。田原さんも、この法律には批判的な姿勢を示されています。同氏は、言論・表現の自由が損なわれること、マスコミの萎縮を懸念されています。自分が同法の「逮捕第一号になる」と息巻いておられました。

 

ブレイクスルー

 

作家・平野啓一郎さんがゲストでした。平野さんも共謀罪法には批判的な姿勢を示されておられます。

印象に残った話としては、医療のたとえを使い、警察権力が増長することを懸念されておられました。どういうことかと申しますと、昔は、痛い、熱が出たなどの「症状が出てから」が医療の出番だったのですが、今は予防に力点がおかれています。つまり、「症状が出ていない」健康だと思われる時から医療機関にかかり、少しでも長く生きようという方向性へと医療が変化してきたとおっしゃいました。これを警察権力でいうと、どういうことかと言いますと、「犯罪が起きてから」が、共謀罪法ができる前までの警察の出番だったのですが、同法の成立により、「犯罪が起きていない」段階で、警察が力を発揮できるようになったわけです。こうした流れの行く末には、「警察に、将来の犯罪者だとにらまれないように振る舞う社会がくるのでは」という予測を立てておられました。

また、警察権力の暴走にも懸念を示されていました。平野さんの新著に出ているという共産圏だった頃のボーランドの小話を青木さんが紹介しました。どのような小話かと言いますと、当時のポーランドには午後10時以降の外出禁止令が出ていて、その時間以降に外出している者を見つけたら、警備員は無条件で発砲してよいということになっていたとのことです。そこで、ある警備員が午後9時50分に外を歩いていた人物に発砲したというのです。なぜなら、その警備員は、撃たれた人物が、現場から歩いて10分以上かかる場所に住んでいるのを知っていたから…という小話です。

平野さんの補足によると、撃たれた人物は、途中で車に乗って帰るかもしれないし、10分かからない所にあるガールフレンドの家に入るのかもしれないとのことで、撃った側の恣意性を指摘されておられました。

この小話は共謀罪法により、犯罪の対象が想像以上に、権力の側の恣意によって拡大されていく様が描かれていると思います。

 

以上のことが、6月16日放送の『ジャム・ザ・ワールド』で語られた印象に残った点です。

 

共謀罪法の施行は来月からだということです。

この法律によって、テロを防ぐことができれば、申し分のないことだと思います。ただ、それと引き換えに失われる市民生活の自由の大きさや、警察の力をどのようにコントロールするかについては、もっと深い議論があってよかったのではと考えています。国会は閉幕しましたが、次回以降の国会でも、この法律がよりよく市民生活の自由や安全に資するものになるよう、粘り強い議論をしてもらいたいと思います。